今だから、できること

2020年4月7日に緊急事態宣言が発令されてから私たちは制約の中で生活を送っています。

2020年5月号では外出自粛によって「うち」中心の生活スタイルに変化を余儀なくされた状況で私たちには何ができるのかを考えました。

2020年6月19日には県境を越える外出自粛が解除され少しづつ経済活動が再開されてはいるものの、かつての日常に完全には戻ることはないでしょう。再流行に対する緊張感の中でこれからも私たちは制約と向き合うことになるのではないでしょうか。

ウイルスと長期的に闘うフェーズに入った今だからこそ、制約と向き合っていくことが私たちができることだと思います。
シアターから始まるカルチャーの横断ーDo it Theater
今年に入ってから私たちがリアルで体験をする機会は失われた。2020年4月7日、緊急事態宣言が出されたことで私たちは家の中で過ごすことを余儀なくされている。このような状況下だがシアタープロデュースチームDo it Theaterがリアルイベントを取り戻すべく、大磯ロングビーチ第一駐車場でイベントを開催する。彼らは“新しいシーンは、Theaterからはじまる。”というコンセプトのもと、公園や広場にスクリーンを設置し今までにないシアターを創り出してきた。そんな彼らが今回打ち出す企画は「ドライブインシアター2020」である。ドライブインシアターとは、野外に設置された巨大なスクリーンの前に車を停め、車内から映画を観る新鮮な鑑賞体験だ。なぜ彼らは今イベントを開催することができるのだろうか。新しい映画体験を創り出しているDo it Theater代表の伊藤大地さんに上映活動を通じて実現したいことやこれからの映画体験の行方についてお話を伺った。
大阪のおばちゃんアイドル「オバチャーン」は20年代のアイドル像を更新する

コロナ禍の影響でありとあらゆるカルチャーが窮地に立たされているが、アイドルカルチャーもその例外ではない。ライブや握手会といった、アイドルとファンが直接的なコミュニケーションをとることを可能にする空間=「現場」が機能しなくなったからだ。乃木坂46白石麻衣の東京ドームで予定されていた卒業コンサートの延期や、Juice=Juice宮本佳林の卒業延期といった対応から、アイドルが「現場」から離れざるを得ない状況が窺い知れる。アイドルを語る上では外すことのできない要素である「現場」がさらに長期間機能を停止することになれば、アフターコロナのアイドルのスタンダードは変容することを余儀なくされるだろう。
 
社会変化もアイドルのスタンダードを更新しうるものだ。例えば、アイドルとファンが双方向的に場所を問わずコミュニケーションを取ることを可能にしたのは、スマートフォンの普及とSNSの登場による恩恵を厚く受けているだろう。そして次にアイドルのスタンダードにインパクトを与えるのは、「恒常的な高齢化」ではないだろうか。数年後には3人に1人が高齢者になると予想されており、若者が担うポジションに高齢者も加わることで、社会構造の変化が加速するかもしれない。2010年8月に結成された大阪の”絡んでくるアイドル”こと「オバチャーン」はそれを象徴させる、平均年齢66歳のアイドルグループだ。ごく普通の生活を送ってきた彼女たちがヒョウ柄の服を身に纏い大阪を代表する姿は今後のアイドル像を更新する可能性を秘めている。そこで本記事では、「オバチャーン」のメンバーになぜアイドルを志向したのか、そしてプロデューサーの日座裕介さんになぜおばちゃんアイドルを構想したのかを問うことで20年代のアイドル像を読み取っていく。
コロナ危機を乗り越えるための経済政策―経済学者 井上智洋インタビュー

新型コロナウイルスの流行によって経済が危機に瀕している。飲食店をはじめとする感染リスクの高い場所に対して営業自粛要請が発令され、収入が大幅に減少し、今後の経営が立ち行かなくなっているケースも多い。さらに、アルバイトで働く人々も収入が途絶している。大学生の中には、学費を払えずに退学を考えている人もいる。また、全国規模での外出自粛要請の影響により様々な産業が打撃を受け、深刻な不況も予測されている。そのような中で政府の支援は十分に行き渡っているとは言い難い。

そこでコロナ危機以前から、IT技術の発達によって将来発生する失業者を救うためのベーシックインカムの導入を主張してきた経済学者の井上智洋先生に、政府が取るべき今後の経済政策について伺った。井上先生は生活困窮者を助けるため、そして不況による経済へのダメージを緩和するため、毎月10万円の一律給付が必要だと語る。日本政府はこのような大規模な経済政策を打ち出していくことが出来るのだろうか。
今求められるコロナ禍でのファクトチェック FIJ事務局長楊井人文インタビュー

デマやフェイクニュースが連日連夜飛び交っている。影響力のあるメディアが誤った情報を発信することもよく見かけるようになった。結果、人々がいわれのない中傷被害にあったり、生活必需品の買い占めが起きたりする。その影響は実生活にまで及び、決して無視できるものではない。今、私たちは正しい情報を見極めるために、情報の真偽を検討するファクトチェックに注目するべきではないだろうか。

改めてファクトチェックとはどのようなプロセスを踏むのか、そしてどのようにニュースと向き合うべきかを、ファクトチェックの普及活動を行うFIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)事務局長・楊井人文さんに伺った。
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